人びとの地位を経済次元に一元化して分類するのが市場経済である。住宅ローンの大半は民間市場に委ねられた。ここでは持家取得を希望する人たちが住宅融資を調達できるかどうかは信用力によって決まる。国土交通省が金融機関を対象として二〇〇七〜〇八年に実施した「平成一九年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によれば、融資審査では「完済時年齢」(九九%)、「借入時年齢」(九七%)、「返済負担率」(九七%)、「担保評価額」(九五%)、「勤続年数」(九四%)、「年収」(九四%)、「返済履歴」(八五%)を考慮するという回答が多い。
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労働市場の変容のもとで増大した非正規の被用者は、賃金が低いだけではなく、信用力をもたないことから、住宅融資の市場にアクセスできない。住宅金融公庫は借入資格をもつ人たちに均一の融資条件を適用した。しかし、民間の金融機関は借入者の信用力に応じて異なる金利・保証料・融資額を設定する。労働市場での地位は住宅ローンの条件を左右し、勤続年数の短い転職者、自営業者、所得の低い人たちは、小規模な融資しか得られず、割高の金利と保証料を課せられる。