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乗客の咳

北京に着いたのは、翌朝の五時半だった。看板を見ると、北京北駅の近くのバスターミナルのようだった。まだ暗く、店も開いていなかった。「○○さん、次の停留所で降りませんか」隣に座るH君が囁くような声でいった。体調でも悪いのか顔を見た。「いや、気になりませんか。あの咳」「咳?」「後ろの席のおじさんが嫌な咳をしてるんです。妙な風邪を移されたら大変でしょ」「風邪?」考えてもみなかった。これまで旅先で風邪をひいたことは何回もある。

[参考サイト]
ホテルサンルート青森 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad381198/

五反田駅のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/130000/STA_990297/

山梨のホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/hotel/150000/

訪ねた街の気候がわからないことが多いから、日本にいるときより風邪をひきやすい。気をつけていないわけではないが、近くにいる人の咳まで考えたことはなかった。H君ぐらい気を遣ったほうがいいのかもしれなかった。しかしH君はまだ、旅の緊張のなかにいるようだった。北京北駅近くに着いた僕らは、タクシーで永定門長途汽車姑に向かった。汽車は中国語でバスになる。北京には十ヵ所近いバスターミナルがあり、いったいどこから南下するバスが出発するのかわからず、勘で永定門のバスターミナルに向かったにすぎなかった。