客観性を持って自分を眺めることができる、あの人は、なぜそれをいいと思うのだろう。その理由を理解したい、理解しようと思えてくる。ここに至って初めて、ファッションが社会の中でのコミュニケーションの道具という機能を果たすのである。スタイルは誰でも手に入れることができる。それは女優やスーパーモデルといった一部の人たちだけのものではない。スタイルって、ファッションつてなんのこと?というような、たとえば田舎の畔道を歩いているようなおばあさんにも、スタイルを持っている人はいる。反対に、山のように服やアクセサリーを持っていても、スタイルのない人もいるのである。女優やモデルにスタイルを見ようとするのは、むしろ危険なことかもしれない。それは形でしがないからだ。ブランドを持っていれば素敵といったようなことにも似て、形だけのスタイルは、人の目に「あの人は特別」と映るための単なる手段でしかない。「スタイルのある人」とは、結局自分のことをよくわかっている人、それを上手に気持ちよく人に伝える表現力を持っている人ということにほかならない。