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エステサロンはすごい

待合室に行くと、もう閉店時間が近いというのに、見慣れない若い女性が店長と話をしているところだった。店長から二人が向き合って座っているところへ私も座って反省を書くように言われ、どうしてテーブルが一つしかないのか、心の底から呪いたかった。私はさっさと帰るために、凍ったドリンクを急いでスプーンで崩して、こめかみを痛めながら頬張り、ノートに反省を書きはじめた。「責任を持って、エステサロンがサイズを落としますよ」二人の話から、女性は入会しようとしていることが分かった。店長は私のときと同じことを言い、彼女のほうはまだ迷っているらしく「はあ」とか「でも」と言っている。私は下のほうが固く凍っているドリンクを崩しながら、心の中で「嘘つき!嘘つき!」と叫んでいた。「彼女を紹介するねっ」―は?私は口をぽかんと開けたまま、こちらを見ている二人の顔を見比べた。すると店長は元気よくその女性を私に紹介し、エステサロンの施術はどんな感じなのか話してくれと言いだした。私の全身は一気に熱くなり、めらめらと怒りがのどまでせり上がってくるのが分かった。―いい加減にしろ!店長の顔を見るのもうんざりする。そうやって何人騙せば気が済むというのか。私は証拠をつかんでいるのだ。鼻の奥までもが熱くなりながら、私は心の中で叫んでいた。しかしもう面倒くさかった。どうせ何を言ったって無駄な抵抗なのだ。だったらお望みどおりのことを言ってやる。私は得意そうな顔をして、口を開いた。「エステサロンはすごいんですよ。はじめての施術で太ももが2.5センチも痩せたんですから。本当にそれにはびっくりさせられましたねえ。それにね、スタッフのみなさんも優しいし、他のお客さんもすぐ仲よくなってくれるので、通うのが楽しくなると思いますよ」「へえ、そんなに痩せたんだ。じゃあ、私も入会しようかな」自分で言っておきながら、私は心底自分が嫌になっていた。熱くこみ上げてきたものは、調子のいいことを言っている間にすっかり冷め、今は冷や汗をかいていた。期待どおりのことを言われて満足そうに笑みを浮かべた店長を、私は横目でにらみつけていた。そのあとその女性が12回コースのローンを組んだので、私は何をやっているんだろうと自己嫌悪に陥った。これでは店と共謀して、私もお客さんを勧誘しているのと変わりはなかった。しかし私はもうすでにローンを組んでいるのだから、ここで店長と揉めて通うのをやめたとしてもお金は返って来ないし、では痩せるのを諦められるかというと、天使が悪魔でも効果が出ているだけにそれもできないことだった。それに証拠と言っても、話を聞いたぐらいでは私が太刀打ちできるようなものではない。だから本当に苦し紛れにそう言ってしまったのだ。私はどうすることもできない事態に、とまどうだけだった。
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